1 防災対策
企業内の防災対策の目的は、従業員の安全確保や物的被害の軽減です。
【従業員の安全確保のための対策 例】
・事業所内の避難経路の確保
・事業所周辺のハザードマップや防災マップによる被害リスクや避難場所の確認
・自然災害時における指揮命令などの体制整備
・緊急連絡網の作成と更新
・安否確認のルール作成
・救急セットの準備
・非常用品の備蓄(飲料・食料、毛布などの衣料、懐中電灯・電池・トイレットペーパーなどの生活用品、ラジオ など)
・従業員への安全教育、防災訓練等の実施 など
【物的被害の軽減のための対策例】
・事業所の耐震化
・事業所内の機械設備・家具などの転倒防止対策
・火気使用・危険物などの安全対策
・電気、ガス、水道、通信など障害発生時の緊急対応(二次災害防止) など
2 事業継続
自然災害が、必ずしも事業が行えないほどの影響を引き起こすとはかぎりません。自然災害が起きても少ない人数で事業を継続できるよう、以下のような対策の検討をおすすめします。
【事業継続のための検討例】
・自然災害時の緊急性の高い業務の整理
・出勤しなくても業務ができる体制づくり(テレワーク、振替休日 など)
・出勤者の自然災害リスク回避(宿泊場所の確保 など)
・出勤できない可能性のある従業員の業務引継ぎ方法
・仕入先を複数確保
・工場など代替生産できる拠点の確保 など
テレワーク活用企業の自然災害時の備え
新型コロナ対策で普及したテレワークは、自然災害時の事業継続にも有効な手段となっています。
しかし、テレワークであっても予期せぬ事態が起こる可能性はあります。
たとえば台風や大雨、落雷などによる停電、過電流、インターネット障害などです。
停電やインターネット障害が発生すると、システムにアクセスできず給与計算業務がストップし、結果として振込期日に間に合わないおそれがあります。
このようなリスクを回避するには、テレワーク環境でも業務を継続するための備えが必要です。具体的には、パソコンのモバイルバッテリーの貸与や、インターネットのバックアップ回線(ポケットWi-Fiや会社スマートフォンでのテザリングなど)の確保などをおすすめします。
【テレワーク活用企業の備え 例】
・非常時のパソコンのモバイルバッテリー貸与
・インターネットのバックアップ回線の確保
・通信状況の急変に対する優先業務の整理
・データのクラウドバックアップ
・複数のコミュニケーション手段の確保(チャットツールの導入など)
自然災害の業務量増加のときの時間外・休日労働
法令で定められている労働時間の限度時間は、原則1日8時間、週40時間です。この時間を超える労働を命じる場合は、事前に届け出ている36協定で定めた時間外・休日労働の範囲内である必要があります。
自然災害直後も、過重労働による健康障害を防止するため、36協定で定めた時間外・休日労働を遵守します。
しかし例外として、必要な限度の範囲内にかぎり、時間外・休日労働の上限を超えて働くことが認められるケースがあります。具体的には、災害、緊急、不可抗力、その他客観的に避けることができない事由において、臨時の必要がある場合に、労働基準監督署長の許可を受けたときです。なお、事態急迫のために許可を受ける時間的余裕がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければなりません。
災害、緊急、不可抗力その他客観的に避けることができない事由には、自然災害により被害を受けたライフラインや道路交通の早期復旧対応、人命または社会全体の安全を守るための協力申請に応じる場合などが含まれます。
例外の認定は、個別かつ具体的に判断され、単なる業務の繁忙などの理由は認められません。以下のリーフレットを参考のうえ、所轄の労働基準監督署へ相談してください。
参考|厚生労働省『災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等について』
自然災害による労災保険(業務災害・通勤災害)
自然災害の発生により、従業員が業務中や通勤途中に被災する可能性もあります。自然災害発生時のケガなどが、業務災害や通勤災害として認められるのかは、以下を参考にしてください。
1 業務災害
自然災害で被災した場合、原則として業務災害とは認められません。ただし、作業場所の立地条件や作業条件、作業環境、事業所施設の状況などにより、自然災害を被りやすい事情がある場合は、業務災害が認定されるケースもあります。